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執筆者の写真prayersmarket

一人の女性として生きた証


わたしと同世代の方のお見送りでした。 式場には、ご自宅からお持ちいただいた故人様がお好きだったアーティストのCDが何枚も届いていました。 その中から特にお好きだった曲をかけて差し上げたいと思い、ご両親にお伺いしたのですがわかりませんでした。 親しかったご友人ならわかるかもしれないとのことで、そのご友人が到着されたらご両親から紹介していただくことになりました。 午後4時半過ぎ、そろそろご親戚が集まりはじめる頃、式場の入口で遠慮がちに佇んでいらっしゃる女性がいました。 先ほどご両親がおっしゃっていたご友人は、この方だと思い、声をかけました。 「もしかしたら、ご友人の◯◯さんでいらっしゃいますか?」 「そうです。ご迷惑かとも思ったのですが、何か少しでもお手伝いできることがあればと思って早く来たんです。」 やはり故人様の大切なご友人でした。 先ほどのCDの選曲のことをご相談すると、快く引き受けてくださり、一緒に選曲してくださいました。 "この曲は、好きだと言っていた曲" "この曲は、カラオケで必ず歌っていた曲" "この曲は…" 大切な思い出とともに選曲してくださいました。 そして、ご友人にはもう一つお願いしたことがありました。 通夜式には、たくさんのご友人がご参列くださる予定でしたが、ご両親にはどなたがどんなご関係の方なのか全くわからないので、ご両親にご友人の皆さまをご紹介していただけないかということでした。 そのお願いにも快く応じてくださり、あとからご到着されたご友人の方々にも声をかけてくださり、通夜式の開式前と閉式後にたくさんのご友人をご両親にご紹介してくださいました。 ご友人の方々からは、ご両親が知り得ない、一人の女性としてイキイキと過ごされていた故人様の姿が語られていました。 通夜式の帰り、ご両親はこうおっしゃってくださいました。 『今日は、お友達からたくさんの話が聞けて、わたしたちの知らなかった娘に出会うことができました。充実した楽しかった時間があったのだと思うと、少し救われた気持ちがします。ありがとう。」 司会者として、マイクを持っていないところでも、まだまだお手伝いできることがたくさんあると、日々感じています。 


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